Casting

テンカラの美しさの一つに、宙を舞うラインの軌道が挙げられます。せっかくテンカラをやるのでしたらクールなキャスティングを見に付け、「カッコイイテンカラマン」を目指してください。基本は下の絵のように「乾杯」の位置で竿を構え2時から12時の位置に竿を振り上げ、一瞬タメた後2時の位置に戻します。前に飛ばそうと力むと全然飛ばないので、あまり飛ばなくてもいいや位の気持ちでやると気持ちよく飛びます。キャスティングに悩むあなたは以下を参考にしてください。

テンカラのキャステイング

テンカラが飛ばない理由


私がテンカラを始めた当初、毛バリが全く飛ばず苦労しました。理由は大きく分けると2点に絞られます。
一つは振り上げた後のタメ、すなわち①の位置で一瞬待ってラインが後ろに伸びきるのを待たなければいけません。前に飛ばそうと気持ちがはやり、振り上げた途端前に振り始めるとラインがごちゃごちゃのまま前に飛びますので当然飛距離は出ないわけです。ルアーのキャステイングのように振り上げ→前振りを一連の動作でやると失敗します。①の位置で一呼吸待ちましょう。
もう一つは腕で振っているパターンです。手首のスナップを利かせ、竿のシナリを利用するのがテンカラのキャスティングです。腕と竿が直線になりちょうどフライのキャスティング、または剣道のように腕ごと振るとラインに勢いが伝わらず失速します。


様々な状況下でのキャスティング


テンカラはせり出した木や藪に引っかかることが多い釣りです。フライは後ろにスペースが必要ですが、テンカラは頭上にスペースが必要です。木に囲まれた渓流ではキャスティングの前に自分の真上に枝がないか確認すると良いでしょう。予想以上に高い所までラインは飛びます。「まさかあんな高い枝には引っかかるまい」という枝にまんまと引っかかり、5分位ロスすることになります。
頭上にも左右にも障害物がある場合は、岸に立ち川の方を向いてサイドキャスティングをすると上流の狙ったポイントに落とすことができます。ちょうど川の上をラインが通る形となります。(下図) このほか様々な状況下でキャスティングをすることになるので臨機応変にキャスティングをしてください。枝に掛けて時間をロスするよりは次のポイント移動した方が良いケースも多々あります。とりあえず、「頭上注意」です。
テンカラのサイドキャスティング

テンカラのアタリとアワセ


魚が毛ばりをくわえることをアタリと言います。アタリがあったときに毛ばりをしっかりと魚の口に引っかける動作のことをアワセと言います。テンカラでは「どうアタリを知覚し、どうアワセるのか」が非常に重要でテンカラマンの間では意見が割れるトピックの一つです。ここでは初心者の方を対象としているためもっとも簡単で魚を釣り上げる可能性が高くなる方法を紹介します。


テンカラのアタリの取り方

①まず毛ばりが水の中にある時はラインを張りすぎず緩ませ過ぎず、若干孤を描くくらいの状態をキープします。 ②魚が毛ばりをくわえるとラインが張り直線になります。この時軽く竿を上げてみてください。
原則、水中に入るのは毛バリとハリス、というのが正しいテンカラです。しかし流れが複雑な所では毛ばりが沈みラインが引き込まれていきます。ここで竿を上げてラインの出をコントロールすると毛ばりの流れが不自然になるので、そのままにしておくように私はしています。水中の餌も流れに乗り沈んだり浮いたりするのでそれに任せるわけです。毛ばりが自然に進んでいく先に魚が待っている、と考えてもよいでしょう。
ではその状況下でどのようにあたりを取るのか、ですが、初心者のうちはアワセは必要ありません。ラインの動きが止まったり、ピンと張ったりしたら竿を軽く(ほんとに軽く)上げてみてください。魚が掛かっていればそこからやり取りが始まりますし、ただ流れに引き込まれただけならそのまま流してもよし、もう一度キャスティングしなおしてもよしです。
小さい魚は「ビクン」と大きくアタリが出ます。逆に大物は静かに出ることが多いです。水中の岩に引っかかったかな、というようなアタリとなります。いずれにしても、ラインが張ってから軽く竿を上げる、のが初心者には大事なことですね。


取り込みまで


魚が掛かったら竿を立て引っ張り合いの形を取ります。
テンカラにおける魚とのやり取り

①のようにキャスティングの時と変わらない腕の位置で手首を返し竿を立てます。
②魚が大きくパワーがある時は魚の走りに合わせて送ってあげます。無理に竿を立てて抵抗するとラインが切れます。
岩が多いエリアですと岩陰に潜られラインを切られるので少し強引にでも引きずり出してしまった方が良いです。テンカラタックルはリールが無くドラグ機能も使えないので、あまりにも同じ方向に走られるとラインが切れてしまいます。うまく方向転換させながら体力を消耗させ、取り込みましょう。リールがある釣りとの大きな違いがもう一点。ラインの長さを調整できないので竿を持っている手とは逆の手でラインをつかまないといけません。ですのでネットを持つ手でラインを捕まえ、そのラインを竿を持つ手に渡し、魚をネットに入れる、という順番になります。ちょっとわかりにくいですが、実際にやってみればすぐに言っていることが理解できるはずです。


テンカラの毛ばりは見えてないといけないのか?


結論から言うと、見えている必要はありません。大体どこを流れているのかさえわかればアタリに対応できます。
キャスティングした毛ばりは水面に落ち、ハックルが水を含み徐々に沈んでいきます。それがテンカラの毛ばりの特徴です。フライフィッシングで使われるドライフライは視認性が良く水面に浮くのでどこに着水しどこを流れているのかが一目瞭然です。しかしテンカラは慣れないうち、どこに落ちたのかすらわからないときがあります。私も水面に落ちたと思っていたら対岸の岩に毛ばりがのっかっていたなんてことがよくあります。特に逆光の時などは自分が何をしているのか全くわからないことがあります。目をつぶっているのと変わりません。
さて話が逸れましたが、テンカラ釣りにおいて毛ばりを「完璧に」追跡することは目指さない方が良いです。大切なことは、おおまかな位置を把握することです。下図のように直径1メートル程度の範囲を見ていれば問題ありません。


毛ばりとハリスはとても見づらいので、「見えたら見る」くらいの気持ちでいてください。ラインの先端が見えていれば十分です。その先にある毛ばりの位置を推測することができます。ですので...ハリスが短ければ短いほど毛ばりの位置は推測しやすい、ということになります。極論すればハリスは30センチほどでもOKなのですが、ハリスが短いと今度は自然に流すことに影響が出るので、キャスティングの上達につれてハリスを長くしていきましょう。上からの絵だけではわかりにくいので横からの絵も描いておきます。


水面を見つつラインのたるみも見ている状態です。ラインが張るもしくは動く、水面に変化がある、水中がギラッと光るとアタリのサインです。軽く竿をあおってみましょう。